手を触れていくこと

からだはその人のお疲れや痛み、喜びや悲しみといった感情、思い、生き方も表しているように感じます。
たとえばとてもとてもお疲れのクライアントさまのおからだは、冷えて凝りかたまっていることがあります。
そんなときは、自分の掌をこすり合わせて温めて、そっとお背中に触れ、手の熱をじんわりと送り、だいじょうぶ、だいじょうぶ、とおまじないのように心のなかでお唱えしながらトリートメントをしています。
私は、手を通して伝わってくるもの、伝えられるものがあると信じています。
なぜか、子どもの頃からよく父の肩たたきをしていました。
褒められるから得意げになって、父の日や父のお誕生日の贈りものは手作りの“肩たたき券” 
大人になってからもそれは続き、どんなものより父は喜んでくれました。
口数の少ない父とは、ほとんど会話をしたことはなかったけれど、マッサージしようかと声を掛けると「頼む」とひとことの即答。
そのやり取りを母はなんだか嬉しそうでした。
ガチガチの父の背中に触れ、あまりにもガチガチすぎて悲しくなってきたことが何度もなんどもありました。
その度に、長生きしてね、とか、親孝行できずにいてごめんね、とかそんなことを心のなかで呟いていました。
いまではもうできない。父との思い出話しでした。
もしも労りたい人がいたら、
掌をこすり合わせて温めて、
ふわりと手を置いてあげてください。
それは自分にも。
いちにちの終わりには、
よくがんばったね、ありがとう、声をかけて
さすさすしてあげて
自分を労ってくださいね。